Sacred Vampire of Crescent.
□Not visible without love.
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戦闘開始からどのくらいが経っただろう…。
レノは、今までに体験した事のないヤバさを感じていた。
"姫"の使い魔である事を、彼は誇りに感じ、そして姫に恋をしてきた。
恋焦がれるには長すぎる数百年。
眠り続ける姫のため、住処を守り続け、そして姫が戦いに身を投じるのであれば、全力で主を守るのが当然というものだろう。
だが、目の前の"敵"は…強すぎた。
人間の成り上がりであるレノは、人間のころには比較する存在が僅かしかいない程に優秀なタークスの人間であったけれど…。
相手は更にキャリアを積んだタークスの上司だった。
「…さすがにヤバいぞ、と」
レノの頬を汗が伝う。
その全身は怪我だらけで、彼の劣勢の程を物語る。
「だけど姫のために負けるわけにはいかないぞ、と」
どこにそんな余裕があるのか、それとも強がりか…。レノは、口元で微笑んでいた。
「強がりを…。だが昔からそうだったな。鬼気迫るときほどお前は、その状況を楽しんでいるかに見えた…。
だが、使い魔の強さは主に比例する…。これでは主の強さの底も知れているというもの…」
呆れ果てたような苦笑のツォンの声。
愛する人を侮辱されたまま平気でいられるほど、レノはできた使い魔ではなかった。
「…聞き捨てならないぞ、と」
「聞き捨ててもらっては困る。我が主の命により、お前たちを倒してから主のもとへ駆けつけ姫を討たねばならない」
「それはできない相談だぞ、と」
ゆらりと、レノが膝に力を入れて立ちあがる。
「あんたが言った通り、確かに俺の実力は姫の力にかかってるぞ、と」
そしてレノの体が淡く紅く、輝き始めると…
彼の全身の怪我は瞬く間に治癒してしまう。
「あんたも使い魔なら知ってると思うけど…。主は俺らに『契約を結ばせる』ことである時の加護を得る…あんたもそうだろ?っと」
「最も。私は『戦う度に命を10年主に捧げる』事で『戦闘時の私の能力を格段に跳ねあげさせる』加護を頂いた…。レノ、お前ごときに手古摺る道理がないのだ」
「ふーん、俺はさー。姫を愛してんの、と。姫も優しいから…俺の事、友達みたいに接してくれて…本当はそれ以上がいいけど、今はまだ高望みしないぞ、と」
「…………信頼か?くだらん…」
タークスで部下だったレノやルードを笑うつもりはない。確かに彼らは良く絆で結ばれたパートナーだった。
だが、そういった感情論で実力が底上げされることなどないというのがツォンの持論だった。
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