Sacred Vampire of Crescent.

□Coincidence of ideal.
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リフォームから数日。
相変わらず平和な屋敷の風景は続いていた。

「みんな、おはよう」

「あ、おはよう姫!」

レノが、早速ヴィンセントに飛びついて抱きついたりして姫分を補給している。

「レノ、姫が着席できないだろう…」

そしてルードに軽く咎められ、自分たちが今から食事の時間である事を思い出すのだ。





(今日はコーンスープとパン、温野菜サラダとジャスミンティー、デザートはチョコレートフォンデュですよ。寒いですから暖かな物でまとめました。冷めないうちに食べてくださいな)

インヤンが今日の朝食のメニューを説明し、ヴィンセントを上座に、後は自由気ままに座って朝食が始まる。


「姫、姫、スープおいしいぞ、と!」

「ああ、暖かくてコーンも新鮮でとても美味だな。だがそれはインヤンに言ってあげるべきだと思うが…」

レノが食事を話題に選んだだけだというのに、ヴィンセントは真面目に返す。言っている事は正しいのだが、レノがなんだか報われない気がした。

(コスタ・デル・ソル産のトウモロコシですよ)

「そうか!あそこは暑すぎる位に温暖だもんな。このモロコシ美味いよな!サラダもあったかいぜ。大変だろ?」

シドがかつて自分が踏み行ったコスタ・デル・ソルを思いだして舌鼓を打つ。
ついでに一人身旅が故に多少の料理はするけれど、それゆえに想像ができる事を言ったりして。

(サラダはしんなりさせたくないので、洗って水にさらした後、一緒に入っているベーコンとにんにくを炒めた油を軽くかけました。パリッとはしているでしょう?)

「ははーん!なるほどなあ…」

(ベーコンとニンニクを炒めた時点で油にも味がかなり付きますから、それをそのまままんべんなくかけて味付けにしました)

「ベーコンはかなり塩分がありニンニクは香りがあるからな…。野菜の触感のため、最後に軽くかけたのか…。珍しいものだ、有難うインヤン」

(その通り。さすが姫です!ありがとうございます!)

王族として舌の肥えたヴィンセントに一般人の栽培した一般人向けの野菜を食べさせる事には最初は抵抗を感じたインヤンも、ヴィンセントが美味しそうに食べてくれるから今では存分に腕をふるっている。

…というか、彼に少しでも美味しいものを。
そう思ったから料理を学んだようなものだ。
今ではその腕前は五つ星レストランのマエストロだの王族御用達料理長並みだ。

こんな感じで皆でわいわい食事を楽しむ。
料理には煩くない、よくわからないメンバーも、詳しい者のコメントを聞けば、新しい気分で味わいなおす事も出来るのだ。

「つかニンニク?ヴィンは平気なのか!?」

シドがぎょっとした表情をするが、レノ、ルードたちはもう何度も見た光景だから普通にしている。

「?ニンニクは平気だと以前言わなかったか?…私は美味しく頂くよ////」

確かに言ってたけど。

吸血鬼の最強の姫がニンニクを食べて十字架を身につけ、聖書を三歳で完全丸暗記し…
もう不条理すぎる。

いままで吸血鬼という定義に常識に捕われていたシドは、どーうしてもこの滅茶苦茶な姫ちゃまの生態に慣れるまで多分、混乱するのだろう。
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