Sacred Vampire of Crescent.

□Secluded daughter.
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「おはよう、シド」

「おう、おはようヴィンセント!」

自分の興味のまなざしを嬉しく思ってくれているのか、ヴィンセントはシドに好意的になってくれていた。

(姫、大丈夫でしたか?)

「?シドは私たちの種族に興味を持ってくれている…。昨日は歴史とかを話しただけだよ」

インヤンにジェスチャーで話しかけられ、何を不安に思っているのかの真相をしらない雛は、昨日あった事をかいつまんで言うだけだ。

(今朝は庭の手入れをしていたので朝食がトーストとサラダとスクランブルエッグです…ごめんなさい姫)

「どうして謝るんだ?」

インヤンが庭の手入れに割いた時間のせいで手抜きの様な料理になってしまった事をわびるが、ヴィンセントはこんな調子だ。

「庭のバラが美しい…。いつも手入れしてくれているからだろう?私はこの景色が好きだから…。それに食事もいつも美味しく貰っている…。お前には感謝している位だというのに」

(あ、ありがとうございます!姫!)

インヤンがおーいおいと感涙を漏らす。
ヴィンセントはそんなインヤンを労り、さあ、では暖かいうちに頂こう、と切り出した。











「ヴィンセント、ちといいかい?」

「?私は特にやることはないから構わない…」

食事後、皆が散会してからシドはヴィンセントに話かける。

「昨日は有意義な時間を有難うよ。んで、礼と言っちゃなんだが、俺様が見てきた現在の外を教えてやろうと思ってな!」

「!…本当か?私はニブルヘイムまでしか出てないから…楽しみだ////」

マジですかい。

思った以上の深窓の令嬢っぷりだ…

そうは思うが、シドはヴィンセントの嬉しそうな笑顔に全てを持っていかれ、それではまた私の部屋で待っているから、と言われてしまった。

(おまけに相変わらず無防備かよ!)

ベッドと家具しかない王族らしからぬ部屋だったから別に見られて恥ずかしい物もないのかもしれないが、レノ達は少なくとも部屋に入り込んだ事がないらしく、昨日あたりから少し羨望の視線が痛い位だ。


ヴィンセントは今頃、【冒険家が回った今の世界】に想像を膨らませ、うきうきそわそわしながらシドが来るのを待っていることだろう。

…可愛いんだが、やはり危険な娘である。


そんな事を思いつつ、ヴィンセントの部屋の扉をノックした。
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