Sacred Vampire of Crescent.
□End of Longsleep.
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「ようやく、か…。ここまで来られたな」
紫煙を吹かしながら、その男はとある村を見上げていた。
「長かったぜぃ…」
感慨に耽りながら、最後の一服を大きく吸い込んだ。
「ここで聞き込みして…ついに、か!」
男は吸い殻をもみ消し、携帯灰皿に捨ててから村への一歩を大きく踏み出す。
「幸運の女神さんよ!俺様の努力を実らせてくれよ!」
そして男は村の門を大きく跨ぐのであった…。
「吸血鬼?…ああ、あんたも吸血鬼幻想を追ってきたクチかい?」
村に入ってすぐ、店に品物を並べようとしていた男性に話を聞こうとしたら、奥から話を漏れ聞いたのだろう。主人と思われる男性が姿を現した。
「ああ」
男は返事をしてから心の中で
(まあ、手がかりしかないんで、調査はこれからだが…)
と軽く詫びた。
「そうかいそうかい、昔っからこのニブルヘイムでは吸血鬼幻想を求めてやってくる、あんたみたいな人が多いんだ」
「へ?」
男が少し残念そうな顔をする。
なにも自分が一番乗りだったなんて思ってはいない。
吸血鬼は歴史の深い魔物だし、自分の様な冒険家だけではなく学者なんかも調べているのだから、「ここ」に辿りつく人間の数は相当なものだっただろう。
残念に感じたのは、その中に「幻想」に行きついた人間がいるのかもしれないという落胆。
「本なんか読んだら結構曖昧だったんで、そういう意味じゃ俺様期待してたんだがなー…」
本で調べることだってある。
あまり得意ではないけれど、読んだ本は肝心なところが曖昧だったから、核心にまで至った奴はまだひょっとしたらいないんじゃないか?
なんて期待をしている状態だったのに。
「ああ、それなら安心するといい。我々だって吸血鬼が危険だとは解っているし、特に吸血鬼幻想は村を守ってくれているんだ。誰かれ構わず情報を渡したり先へ進ませたりしているわけじゃない。
…それに、進んでも帰ってこない奴も非常に多いし…」
「…そっか」
少なくとも主人が自分を信頼してくれているのは解ったが、だからと言って自分の情報のせいで多くの命が失われているこの現実に、男は声をかけられずにいた。
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