流れゆく大河のように自由に愛されて。
□幸せだと感じることは、全て。
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〜12/24〜
「ん〜…。いや、違うな…」
ぱっ。ぱっ。
「…いや、なんかこう、安直すぎるかな…」
ヒソカは姿見鏡の前で数時間悩んでいた。
自分に何着もの服を当て、クロロとの約束の時間までゆとりを持って過ごしていたヒソカはそろそろ支度をしなければと思い立ち、数時間後に今に至る。
普段から彼はとてもお洒落だ。
けれど、それは誰と逢うでも無く自由気ままに気楽にコーディネートしているからこそ。
この後、クロロと…Xmasデートする。
その意識が彼からどれだけの余裕を奪うだろう?
何度も何度も色んなコーディネートを試すものの、変に"デート"、という意識をしてしまって上手くいかない。
カジュアルがいいかな。シンプルに、こう…いや、でもきちっとした方がいいかな。
クロロ、レストラン予約してくれたって言ってるし彼に恥をかかせられないし…。
でも、余りキチッと堅苦しいのもなんかボクらしくないしそもそもこんな、服で悩んだことがないよ…。
悶々としてしまって止まらない。悩んだって仕方が無いが、それだけ本気なわけで。
時計を見やればそろそろ支度は完了していなければならず、結果、インスピレーションに頼ることにした。
クロロは、どんな格好してくるんだろう。
早く逢いたいな。
クロロのことを考えるだけで、心が暖かくなってドキドキが止まらなくなる。こんなこと初めてで、この気持ちの名前も知らない。
……ああ。
けれど貴方がボクと同じ気持ちで最高にカッコイイ姿を見せてくれようとするのなら。
…ボクも、最高に綺麗になった自分をクロロに魅せたい。
どこか、ぼんやりとした暖かな気持ちで今の服装に似合ったロングコートを選ぶと、それを羽織り服装や香水、髪型や顔や口唇。指先や爪先などの最終チェックをしてから部屋を出発する。
昨夜、クロロに逢えたら嬉しいなとアジトへ向かったら彼はまだ居てくれて。
逢えただけでも物凄く嬉しいのに、Xmasに予定はあるか?なんて急に誘ってくれた。
レストランを予約してあるから、イヴとXmas当日を一緒に過ごさないか?って。
驚いたけれど、それ以上に嬉しくって、彼の前で泣いてしまわないように必死だった。
泣きそうな時って、本当に…
どれだけ耐えようとしても、ダメなんだなあ、って初めて知った。
悲しい時以外にも涙って、出るんだなぁ。なんてぼんやり思ってたときのボクは、間違いなく幸せだったと思う。
気づけば一人でいても他人といても、時間があればクロロの事ばかりで胸が覆い尽くされて、いっぱいになる。
昨夜逢ったばかりなのに、逢いたくて逢いたくて堪らない。
そしてその熱い気持ちに、身を切るような寒さも気にならなくなった。