Sacred Vampire of Crescent.

□Not visible without love.
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「で、イリーナ。これ以上戦う必要がないというのか?何があったのだ…」

ヴィンセントが無事な姿は今こうして見ている。ルーファウスに何かあったならツォンはすぐに駆けつけなければならない。
…戦いが、終わっていたとしても。

「あ、はい。姫とルーファウス様、和解したんですよ。…信じられないんですが」

私も、そう聞かされただけなんですけどね、と加えるイリーナ。

「……し、信じられない…」

と、顔をひきつらせてツォン。

「…マジですか?…信じらんねー…」

と仰天してレノ。

「……むう?」

眉を激しくしかめてルード。

「…ヴィン、なにやったんだ?ん?」

詰め寄って問いただそうとするシド。

「え?えっと…多少は戦ったけど…ルーファウスが私を信じてくれて、私も彼の事が解ってきた気がして、その…////」

…ええい、じれったい。

しかも、頬を染めて上目遣いで言われると何だか如何わしい方向を考えちゃうではないか。











ガシャアアアアアアン!

「何事だ!」

外の方角から爆発音と硝子が大量に割れたような音がして、ツォンがすぐに現状を把握しようとシド達の部屋のインターホンを取る。

「ええ、ええ、なんですか!?」

イリーナはただ慌てているだけで、レノとルードは

「お次は、なんだ?」

と、半ばうんざりしたように呟いていた。









「…おい、どうした?報告しろ!」

室内にルーファウスの声が響く。

彼はあの後寝室に籠り、ヴィンセントから受けた傷を癒そうとしていたところだった。

ヴィンセントは王族の純血がゆえ回復が目覚ましかったが、ルーファウスも純血とはいえ格が下がる血だ。回復はそれほど速くはないし、そもそも受けた傷が深いものもあった。

電話を取り、まだ上手くは動かせない体で口だけを動かす。

「(ザーーー…)……ス、様…っ!(ザザ…)工場……、バ……(ザッザー…)ぎゃああああああ!」

ブツン。
…そして、静寂。

「おい!おい!?…工場とか言ったな?先の爆発音の規模と言い、事故か?」

すぐに駆け付ける必要が出来てしまった。

ルーファウスはポーションを一気に煽り、例え何があったとしても、誰にも今の傷だらけのみずぼらしい姿は見せまいと、新しいスーツに身を包んだ。
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