長編小説

□酒宴
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最近、何かにつけて総司を呼び出す芹沢が気にかかる。
芹沢は総司を気に入っている。
上に気に入られるのは悪いことじゃない。
長いものにまかれろという言葉はあながち間違いじゃないと思っているからだ。
だが、相手が悪すぎる。あいつは何を考えているかわからない節があってどうも信用できない。


「おい沖田。」


「はい。」


芹沢は総司を手招きして呼び出す。


「今日は暇か?」


「まぁ……暇といえば暇ですが………」


「親睦を深めるためにも今日は島原にでも飲みにいくか?金は気にすることはない。俺の奢りだ」


総司は困ったようににこにこ笑っている。


「それならば我らも同行致そう。こいつは下戸なもんで飲んでも楽しくないでしょう。やはり酒豪がいたほうが宴会は盛り上がりますから。永倉や原田達も呼んで来ます。」


すべてを聞いていた俺は芹沢のもとに駆け寄って無理に介入する。総司とこいつを二人にしてはならないと漠然と思ったからだ。しかも島原など、とんでもない。こいつは女と遊んだこともないから、変な女にでも捕まったら大変だ。


「それに山南は教養もあるから先生と話が合うかもしれない。」


「何をそんなに心配している。」


「は?」


「大丈夫だぜ?取って食ったりしねえよ。」


芹沢は鉄扇を差し出す。
冷笑を浮かべて見下したように俺を見た。


「おい、お前ら、今宵は近藤殿との親睦を深め合う為に宴を催す。盛大に飲み明かそうぞ!」


芹沢は俺を見上げて笑いかける。何だか負けたような気がして面白くない。俺は唇を噛んだ。
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