長編小説
□雨霰
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−元治二年如月
総司は最近、とにかく何でもいいから言い訳をつけて部屋に上がりこんでくる。
「ねぇねぇ、土方さん、この間おいしい餡蜜屋さんをみつけたんですよ。食べにいきましょうよ。」
とか
「あるいていたら猫を見つけたんですけどね、顔が土方さんに似てるからトシゾーって名前つけたんです。あ、豚じゃないですよ?」
とか
「この間為ちゃんに久しぶりにあって鬼ごっこを二人でしたんですけどね、これがまた二人じゃつんまんなくって。やっぱりホンモノがいないとなぁ。ねえ、土方さん?」
終いには
「ううんー、鶯やもすてがたいけど梅の花も傑作ですねェ。」
俺の句集を勝手に持ち出しては鉄拳を食らうといった感じである。