死…
人の命ってはかない…一瞬にしてその人の全てが消えてしまう…
2003年12月のある日、その日はなんの予告もなく訪れ、彼は一瞬にして永遠の眠りにつき遠い空へと旅立って行った…
離婚した年の暮れ、師走で町が賑わっている12月のある夜、元旦那が勤めていた運送会社の奥さんから私の携帯に1本の電話が入った…
なかなか聞き取れず、何度目かに聞き直した後私の頭の中は真っ白に塗りつぶされ、声を失った…
元のご主人が今日昼間、仕事中高速道路をトラックで走行中、単独で事故を起こし亡くなられました。即死だったそぅです…
はぃ???…私はその時、状況を即座に把握する事ができなかった…
そして事実を知った直後、私の身体は一瞬にして凍り付き相手が電話を切った後も携帯を耳に当てたまま放心状態で動けなかった…
人の動きも声も音も…周りの景色だけがストップし、主役の私にだけスポッとライトが当てられ、まるでドラマのワンシーンのような…
私はその頃夜の仕事をしていましたが、亡くなる1週間くらい前の夕刻彼が尋ねてきた…
珍しく夕飯はけんちん汁…
沢山作ったので、味見を頼むと彼は懐かしそうに目を閉じ、おいしそうにゆっくりと舌で味わうように食べていた…
それが私の見た最後の彼の姿だった…
今でもたまに思いだすのは、彼が亡くなる一か月ホド前の夕方、彼が尋ねてきた…
息子を近くのスーパー銭湯に連れて行きたいケドいいかとのコト…
会うコトは特に制限していなかったのでお願いするコトに…
彼が玄関先から息子に声をかけると、息子は着替えナド必要な物をリュックに詰め、ニコニコ笑いながら後を追うように出て行った…
私はゴク普通に手を振り見送った
まさか父子で歩くこの後ろ姿が最後の光景だなんて予想もしていなかった…
彼の生まれ育った場所は新潟…毎年夏には家族で訪れ田舎の空気を楽しんでいた…
まさか離婚後、私が彼の実家を訪れるなんて、ましてやこんな形で私と子供達だけで行くコトになるなんて…
彼は二階の居間で眠っていた。私は彼の変わり果てた身体を泣きながらいつまでも撫でていた…
そして、頭の中で楽しかった家族での日々が走馬燈の様に甦り、涙が止まらなかった…
たくさんの想い出を、そして幸せをありがとう…
安らかに…