†ダイの大冒険小説†
□-浄化-華蝶風雪(ダイ大)
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洞窟内は比較的明るかった
理由は知らないがきっと呪文の類なのだろう
消えることもなく、松明の炎はゆらゆらと揺らめき己を照らす
洞窟に入りどの位経ったのか
階下に下る階段を10回程下って数え、それからは覚えていない
出現するモンスターと遭遇する回数はさほど多くはなかったが、遭遇した時の数が凄まじかった
毎階、階段を下りきるとそこは広いフロアになっている
しかし下りると直ぐそこにそのモンスターらが密集しており階段付近には多くの白骨化した遺体が散らばっていた
おそらくモンスターに囲まれ、餌食となった冒険者達に違いない
以前ならば疲れを知らなかった肉体、しかし今では日常の運動程度でも息が切れる有り様だ
幸い、自分の使っている武器が剣や槍といった近距離のものではないので体力の消耗は抑えられた
だが弓という武器上、精神が常に張り詰められた状態が続く
連戦の精神疲労でくる疲れはかなり溜まっているのである
その証拠に弓の軌道が時折ブレることが多発し、標的を見失うといったミスを連発した
「…ふぅ…。この階のモンスターは粗方片付いた、な」
ヒュンケルは近場にあった洞窟内に生殖している木の根元に腰掛けると、携帯した薬草を無造作に口へ放り込んだ