誘惑蜘蛛 book

□誘惑蜘蛛
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朝、目覚めると。
隣には、八戒がいて。
お互い裸のまま、とか、寝顔が綺麗、とか。
いろいろ思うことはあったけど1番嬉しかったのは、1人の朝ではなかったこと。

わたしよりあたたかい体温に包まれて、ひどく守られているような気がして。


もう充分だと思っていたのに、こんな幸せがあったことに自分でも驚いた。





「っ、」


「おはようございます、名無しさん」




宝石みたいだ、と、何度思ったことか。
もう何度も見てるはずなのに、朝日を吸い込むそのエメラルドグリーンに何故か涙が溢れそうになった。






「泣かないで、ください、」





ちゅ、と、口づけ。
八戒はいつも、わたしが泣くことを何よりも嫌った。




「悲しい、んじゃないよ、?」


ぎゅっ、としがみつけば、抱きしめ返してくれて。
その体温の心地よさが体に染みる。



「なんだか夢みたいです、」


八戒が、啄むようなキスをたくさんくれる。
胸元に咲いたのは、綺麗な赤い華。



「っ、ん、はっか、い、」

「……本当に、僕は堪え性がないみたいです、」


知らなかった、と呟いて、苦笑する八戒。
その瞬間、キスが激しいものへと変わって。


朝から熱に浮かされるなんて、考えたこともなかった。









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