誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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「……おいおい、マジかよ」
「……チッ、」
「……、」
「本気、ですよ。もう彼女を傷つけたくないですから」
離婚を3人に伝えれば。
予想通りの反応が返ってきて。
みんな、驚いているようで、どこか悔しそうで。
それは、きっと、焦燥。
僕が彼女を愛しているように、この3人も愛していることを知っていた。
だからこそ、ルールを破り逸脱した僕を許せないのと同時にきっと、そうできない自分を責めるのだろう。
「やっぱり、八戒がやらかしたな」
「1番倫理に従ってそうで、はまってしまえば1番無茶をする、」
「……ルール、最近オレも守れないでいたけど、な、」
もう、限界がきていたんだと思い知らされる。
学校で欲のままに抱いたり、醜い嫉妬をぶつけたり。
彼女を支える、という名目はいつの間か彼女負担になっていたのではないか。
考えても答えは彼女しか知らなくて、それでももう、それが許せなかった。
だからこうして、こんな関係は、こんな不安定な関係は、壊してしまおう、と。
「申し訳ないですが、もう諦める気はないですから」
「……随分と勝手をしてくれるな」
「……三蔵には申し訳ないですが、それでも彼女を愛してますから」
みんな、彼女を愛していることはよく知っていた。
それでも、もう。
彼女が欲しい気持ちを隠し通すことはできなくて。
誘惑蜘蛛