誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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「それは先代理事長の趣味だ。」
「………、?」
てっきりそのまま出て行くのかと思っていたのに。
理事長は、こちらを見ずにそう告げた。
「……追想にふけるにはもってこい、だがな。」
「っ、」
私が感じた、儚さ。
私はまだ、何かを追想するほど、人生を生きてはいないけど。
「……だから懐かしい感じがしたんだ…」
「…………、」
きっと、これから先。
楽しいことも、辛いことも起こるはず。
この風景は、先代の想いがつまっているから、こんなにも心が締め付けられる。