誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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入学式では、一人一人呼名された。
そして、おえらいさん達による長話。
中学の頃みたいに、ただ退屈なだけだと思っていた。
だけど、それは違った。
『理事長挨拶。』
司会の人が、そう言った途端、館内がざわめいた。
「………、?」
うとうとしていた名無しさんは、全くわからなかった。
「何かあったの?」
隣にいる、菜緒に聞いてみる。
「理事長がすっごくカッコイイの!」
興奮気味に言った彼女の言葉に、名無しさんは首を傾げた。
理事長って−
歳の多い人がやるものでしょ−?
『煩ぇ、黙れ。』
「っ、!」
響いた声は、明らかにおかしい。
今から理事長の挨拶…だよね−?
ふと、首をのばして見れば、鮮やかな金髪−
「……、!」
あれが−
理事長−?
これが、名無しさんが初めて三蔵を見た瞬間だった−