誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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いつからだったのか−
そう、あの時からだ−
この関係が始まったのは−
−−−−−−−−−−−−
数年前−
名無しさんは、県内でもレベルが高いと言われている、蒼月学園に合格した。
「うわー…広ーい、」
「名無しさん、体育館はこっちよ」
はしゃぐ名無しさんを見て、嬉しそうに微笑むのは、名無しさんの母親、春香。
今日は蒼月学園の入学式。
「名無しさんー、こっち!」
遠くで名無しさんを呼んでいるのは、中学が一緒で、共に蒼月学園へと入学した榊原菜緒。
「あっ、待って、今行くっ」
この頃は何もかもが期待に溢れていた。
新しい学園での生活。
そして、何も変わらないと思っていた。
今までの、生活。
母がいて、父がいて。
そして弟がいて。
菜緒だっている。
なんの不安もなかった−