誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
2ページ/9ページ
次の日、名無しさんはまたいつものように学校に通って行った。
「おはようございます。」
「おはよっ」
廊下の向こうから聞こえるのは、昨日共にいた人の声。
「おはようございます」
「はよ」
だが、二人の間には昨日の甘い雰囲気などなく、完全に生徒と先生だった。
教室に入れば、また一日の授業が始まると言う実感が湧く。
「おはよっ、名無しさん」
「おはよう」
「名無しさん、朝礼終わったらすぐに着替え行こうね」
「あ、一時間目体育だっけ、?」
「そうだよ?」
「……体操着忘れちゃった、」
「あーあ、どうする気?」
「……キャミでやるしかない、ジャージ着てれば大丈夫そうだし、」
「おーい、皆席つけよー」
チャイムとともに入って来た担任の声で、名無しさんと菜緒は席に戻った。