誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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キーンコーンカーンコーン
「……ま、間に合った、」
「あれ?名無しさん遅かったねぇ。そんなに説教されてたの?」
急いで教室に戻れば、友達がニヤニヤしながらからかって来た。
「だから怒られたんじゃないってばー」
名無しさんは少し乱れた息を整えながら、その言葉に反論した。
隣の席の友達、菜緒は、私の1番の親友。
そう、“あの時”も、私の支えになってくれた−
教科書を出しながら話をしていると、チャイムに少し遅れながらも、英語の悟浄先生が入って来た。
「はいはーい、席ついてねー。授業始めるヨ」
「悟浄先生カッコイイっ、!ね、名無しさん?」
「あはは、」
菜緒は悟浄先生のファン。
告白はしていないらしいけど。
本人いわく、遠くで見ているだけでいいらしい。