誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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「そうだ、今日は一緒にお風呂に入りましょう」
「へ、?」
突然、ポン、と手をうって八戒がにこやかに笑う。名案だ、と言いたいばかりのそれは、わたしにとっては予想外。
未だかつて一緒にお風呂なんて入ったことのないわたしには十分驚かされた。
「ね?」
小首を傾げる姿は、人畜無害そう。穏やかに流れる時間が、たとえ仮初めだとしても、これは八戒の優しさなのだ、わたしもできるかぎり、笑顔でいることが少しでも恩返しになるような気がして。
「……うん」
にこやかに笑って、頷く。
恋人みたいなそれに、今は身を委ねる。
「…あったかーい」
体を洗い終わって、2人でバスタブに浸かる。わたしを後ろから抱き締めるようにして浸かる八戒。改めて見ると思ってる以上に逞しい胸板やキレイな鎖骨に、胸は高鳴る。
まじまじと見たことなんてなかったから、少し恥ずかしい。
「あれ、名無しさんって、こんなところにホクロ、あったんですね」
ふいに、首筋の後ろ側に口づけを落とされる。
そういえば、あったような。自分でもなかなか見えないところだから定かではないけど。
「ふふ、くすぐったいよ」
ちゅ、ちゅ、と肩口にキスされて、くすぐったい。
お腹に回された腕をポンポン叩けば、ぎゅっと抱き締められた。
「ああ、あとここにもあるんですよね」
太ももの内側をすっと撫でられて、体が跳ねる。そんなところにもあったのか、自分では気づかないままで。
「あと、ここ」
「っ、ん、」
左胸をやわく揉まれて、下側をなぞられる。
胸の下なんて見えない、なんて思っていれば胸の飾りを摘まれて。
「っ、あん、!」
「ダメ、ですね、思ってたよりガマンできません」
ちゅう、と、首筋を吸われて、胸を揉みしだかれる。熱さも手伝ってクラクラする。
「はっかい、」
「堪え性のない男ですみません」
振り返れば、熱の籠ったエメラルドと目が合った。胸を揉みしだいている反対の手が秘部にのびる。
遠慮なく入ってくる指に嬌声をあげて。
「っ、お湯がっ、」
「あったかいですか?」
ちゃぷちゃぷとお風呂のお湯が揺れて、息があがる。湯気の熱さか、はたまた体の熱さか。
「のぼせるといけませんから、」
ざぶりと体を持ち上げられて、バスタブの縁に腰掛けた八戒の上に座らされる。晒された胸に舌を這わされればぞわりと快感が走る。
「んうう、っ、」
「ココ、お湯じゃないのが溢れてますね」
同時に開かれた秘部。
ぬるぬると突起に擦るように愛液を塗られて、腰が浮いてしまう。二本の指がナカを犯して、親指で突起を転がされて、思わず八戒に抱き着く。しっかりと支えられて、体の大きさの違いに子宮がずくりと疼いた。
「名無しさんのココ、指を咥えて離しませんよ?」
「っ、ん、だってぇ、」
ぐちゅぐちゅと掻き回されて、おかしくなりそうだ。
不安定な体勢が余計にそれを煽って。
「っ、もう、だめぇ、!」
わたしのほしいように、快感に導いてくれる指。
キスをされて、舌を絡ませられれば、呆気なくイッてしまった。
「っ、はぁ、」
「名無しさん、キレイだ」
しっとりと汗ばんだ肌。
上気した頬に、熱い吐息。
こんなにも、僕を煽るのはキミしかいないのだ。
「ベッドに行きますよ」
横抱きに抱えて、拭くのもそこそこにベッドへとなだれ込む。
パンパンになった自身を沈めれば、もう、後は溺れるだけだ。
「っ、んはぁ、!」
細い腰を掴んで、欲望のままに貪る。一際高く鳴くところを擦れば泣き声に近い声が聞こえた。強い締め付けに、気を抜けばイッてしまいそうになる。
「あ、っ、あっ!っ、!」
ナカが蠢いて、名無しさんの体が仰け反る。
まだまだ足りない、と、強欲に貪れば留まることを知らずに愛液が溢れて。
「っ、」
名無しさんの声が掠れて声にならなくなって、漸く解放。
荒い息の中で強く強く、抱きしめて。
ゆっくりと意識を手放す名無しさんの頬を撫でて微笑む。
今日はこのまま寝てしまおう。
朝まで、誰にも邪魔されずに。
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