誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
2ページ/3ページ
「もー…昼休み終わっちゃう」
「潔く悟浄先生に怒られるしかないっしょ。まぁ悟浄先生になら私は怒られてもいいけどね!」
「じゃあ変わってよー…」
「ダーメ!」
「うわーん!」
勉強は、人並み以上には出来る。
ただし、英語を除いては。
入学した当初から思っていたけど、蒼月学園は英語力が凄まじい、と思う。
先生達も力を入れているし、何より生徒も力が入っている。
もともと苦手な私が、ついて行けるはずもなく。
「悟浄先生、今日こそキレるよ、…」
「名無しさんってば…」
何回目かわからない科白。
それもそうだ、プリントが出来ないのは今に始まったことではないのだから。
「ほら、始まるよ?」
「うー……くじけそう…」
ごめんなさい悟浄先生。
決して努力を怠っているわけじゃないんです、多分。
苦手なんです、ごめんなさい。
「はーい、席ついてネ?」
心の中の謝罪が。
全部全部、先生に伝わったらいいのに。
なんて思ってる私は。
恐れ多くて悟浄先生の顔が見れません。