誘惑蜘蛛 book

□誘惑蜘蛛
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横抱きにされて、ベッドルームに運ばれる。
こんな風にされるのにはまだ慣れなくて、途端に体の中の熱とは違う熱が顔に集まる。
これから始まることを、もう知らない頃とは違う。
想像してしまえば、まともに理事長の顔を見ることさえままならなくて。





「女の顔をしてたと思えば、少女の顔に戻ってみたり、忙しいな」


「だ、だって、恥ずかしくて、」






くつくつと理事長に笑われて、慌てて言い訳じみたことを言う。
わたし、女の顔してた?
女の顔っていうのもよくわからないけどわたしはまだ子供で、ちゃんとした大人にはほど遠くて。
けど、何も知らない子供のままとも違う。
そんな中途半端な時だからこそ、自分でさえわからなくて困っているというのに。





「心の準備、できたか?」


「ま、まだです!」


「そうか」


「っ、ちょっ、」








ベッドに組み敷かれて、キス。
準備できてないと言ったのに、理事長は口許をあげて好き勝手に口内を犯して。





「あ、ん、っ、待って、」

「待たない、これはお仕置きだからな」





お仕置き、という言葉を聞いて、学校でのことを思い出す。
お仕置き、まだ済んでいなかったのか。
目線だけで抗議するも、理事長は面白そうに笑うばかりで。





「い、じわる、」


「なんだ、知らなかったか?」








心底面白いと言った風に口許をあげた理事長に、抵抗は無駄だと思い知らされて。










「ん、あ、」



酸欠になりそうなくらい、口内を犯されて、そのうちに理事長の唇は首筋、鎖骨へと下りて。
緊張していた体は、いつの間にか解されるように力が入らなくなって。
わたしはいつだって精一杯なのに、理事長はいつだって余裕そう。
またしてもいつの間にか服ははだけていて、その意味をなしてなかった。





「さん、ぞお、っ」


「熱いな、ココ」





くちゅり、と、触れたそこは、もう恥ずかしいくらい濡れていて、するりと指が入ったのはわたしでもわかって。
出し入れされる度、嬌声があがる。
指を曲げられれば悲鳴に近い声がでて。
自分の声じゃないみたいだ。
恥ずかしいのに、止められない。





「んあ、んんっ、」





欲しいところに、的確に刺激がきて、簡単に高みへと連れてかれる。
だらしなく股を開いて、もっともっととせがみたくなるのを必死で堪えることしかできなくて。



もう少し、というところで指が抜かれて、荒い息のまま三蔵を見つめる。






「お仕置き、だからな」


「あ、もう、…っ、」


「きれいだ」








懇願したくなる。
はやく、はやく、と。


けれど素直に懇願できるほどわたしはまだ慣れていなくて、羞恥心がその先の言葉を引っ込めた。





「名無しさん、どうしてほしい?」








ちゅ、と、太ももの内側にキスを落とされて、下から三蔵に見上げられて。
酸欠と、その視線にくらくらする。
ちゅう、と吸われて、太ももに華が咲くのをわたしは感じていることしかできなくて。






「いじわる、しないで、っ、」


「意地悪?指を入れたことか?」








わかっていて、態と焦らすように秘部を舐めあげられる。
広げられて露わになった飾りを執拗に舐められれば、腰がゆらゆらと揺れて。






「っ、ああ、ん、もう、っ、」






ほしい、と、吐き出した息とともに掠れた声。
言葉にならないくらいのそれだったけど、三蔵は満足したのかわたしのほしいものをくれた。








「ん!っ、ああ、っ、」


「っ、名無しさん、」







熱いモノがほしいところに届き、目の前が真っ白になる。
けれど、律動は収まることを知らずにわたしの敏感なところを擦りあげて、火花が散ったように快感が弾けていく。

頭の先から指先まで、快感が突き抜けてもまだ解放されない。



わたしはただ、身を委ねることしかできなくて。










「いっ、あ、っ、!」






お仕置き、というには優しすぎる。
わたしのほしいところに、溢れるほどに届く快感。



すべてが終わる頃にはわたしの体は指一本動かせないでいた。








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