誘惑蜘蛛 book
□誘惑蜘蛛
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朝目が覚めると、理事長はもういなかった。
「あ、」
姿がない変わりに、残された置き手紙。
たった一言のそれだけど、理事長の性格からすると置き手紙することさえ貴重な気がして。
じんわり、心があたたかくなる。
体に残された甘い感覚もまだ、ここにあのひとがいるように感じて。
「大丈夫、寂しくないよ」
また来る、と書かれた手紙。
あなたはわたしが寂しがることを危惧していたんだろうか。
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