お題:学園萌50のお題(1)

□08、部活:ギイ(1年生4月)
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学園萌50のお題(8)  配布元:BLUE100Titles
部活

「なー託生ぃ。部活どうするか決めたか?」
 昼休み。
 学食で昼食を受け取る列に並んでいると、オレの前方に並んでいる片倉と葉山を見つけた。
「決めたよ」
「なんにするんだ?」
「どれにも入らない」
「はぁ!? そりゃ託生、触られるの得意じゃないから部活も大変かもしれないけど、団体じゃないのだってあるだろ」
「あるけど、入らない。授業が終わったら、ぼくはまっすぐ寮に帰るよ。だからあえて言うなら帰宅部だね」
 そんな二人を見ていると、
「あっ、ギイ発見! 頼むよ〜、先輩に口説いて来いって命令されてるんだよ〜。助けると思って、このとおり!」
 オレは神か仏かよ。
 拝み倒すそいつに
「悪いが、オレはどこにも所属しないよ」
「なんでだよ〜。先輩が納得するような理由なのかよ〜」
 そうじゃないと大変なんだと縋るクラスメイトに
「オレの体はひとつしかないんだよ。それなのに、勧誘はほぼすべてのクラブから来てるんだ。どれかひとつに入ったら、オレの身が危ういんでね。どこにも所属できないってのが正解だが、どこにも入らないなら、先輩方だって納得するだろ」
 う〜んと唸るそいつに、どうしても先輩が納得しなきゃ、オレが出向いて断ってやるよと告げると、どうにか引き下がってくれたが。
「人気者も大変だな、崎」
「…見ていたなら、どうにかしてくれてもいいんじゃないですか、相良先輩」
「別に困っちゃいなかっただろ、崎は」
「困ってましたよ。次から次ですからね」
「そうか、あれで困ってたのか。ふーん」
「上級生なんですから、強引な勧誘はいかんぞ、くらい言ってください」
 目の端に捉えたままの葉山が、チラリとこちらを見て片倉とテーブルに向かう。

 理由は違えどオレたち帰宅部同士なんだから、もう少し打ち解けて欲しいよ、なんて、絶対に口には出せないけれど。
 とりあえず、小さな接点ができた入学一週間目の昼のこと――。
END

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