お題:学園萌50のお題(2)

□49、机:(1年生5月)
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学園萌50のお題(49)   配布元:BLUE100Titles


 机に椅子を乗せる。
 机を持ち上げて、後ろに下げる。
 ただそれだけのことなんだがな。
 この机だけは、他の奴に触らせたくない。
 だから、タイミングを計って何気なさを装って机を運ぶ。
 たかが机。されど机。
 同じ教室の中、誰にも触れないように窓側で黒板消しを叩いているアイツを横目で見ながらアイツの机を運ぶ。
 それだけで今は満たされよう。
 その代わり、今は夢のいつかだが、この腕で絶対にアイツを抱きあげてやる。
 それまでは、机で我慢してやるから。

 ――だから、託生。
 その時は、覚悟しておけよ。

 口には出せないその想いを込めて、オレはケホケホと噎せている葉山を見た。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 机を持ち上げて、元の位置に戻す。
 椅子を机から降ろす。
 ただそれだけのことなんだけど。
 本当はこの机に触ることさえ、緊張する。
 でも、今日は偶然彼の机をぼくが運ぶことになって。
 たかが机。されど机。
 同じ教室の中、てきぱきと机を運ぶ彼を眼の端に収める。
 あ、あれ、ぼくの机…。
 どうしよう。机を運んでもらっているだけなのに、どきどきする。
 別に彼はぼくのこと、何とも思ってないのに。

 ――だから、この想いは絶対に知られちゃいけない。

 口には出せないその想いを秘めて、ぼくは崎くんとすれ違った。

END

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