お題:学園萌50のお題(2)
□45、呼び出し:託生(3年生6月)
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学園萌50のお題(45) 配布元:BLUE100Titles
呼び出し
6月後半。
部屋で宿題をしていると
「電話の呼び出しです。270号室の葉山さん、270号室、葉山託生さん、いらっしゃいましたら5分以内に一番の公衆電話までお越しください」
あ、このアナウンス、伸之だ。
って、そうじゃないだろう。
この時期にぼくに電話なんて……あ、母さんかも。
そろそろ手紙がついた頃だし。
寮のロビーの公衆電話へ急ぐ。
メモに記名はない。
「お待たせしました。葉山で」
「よ、託生」
え? なんでギイ?
「おまえ、なんで? とか思ってるだろ」
…う、するどい。
「あはは…。で、どうしたの? ギイ」
「今夜、オレの部屋に来いよ」
甘いささやき。
「…ギイ」
「たまには、こうやって耳元で口説かれるのもいいだろ? 託生」
ニヤニヤ笑う顔が浮かぶようだよ、ギイ。
「…もう、ギイったら」
「で? 返事は?」
「…うん」
「じゃ、待ってるからな」
切れた受話器を戻して振り返ると、伸之と目があった。
「彼も大胆だよね。今日俺が電話当番なの知ってて、『この時間に電話するから、おまえ絶対出ろよ』なんて言うんだぜ」
肩をすくめて見せる伸之。
なるほど。そんなカラクリがあったんだ。
笑顔を交わして、部屋に戻る。
でも、こんな呼び出しなら、たまにあってもいいかも。
なんて、ギイにはとても教えられないけどね。
END