お題:学園萌50のお題(2)

□44、服装検査:章三(2年生9月)
1ページ/1ページ

学園萌50のお題(44)   配布元:BLUE100Titles
服装検査

 風紀委員の仕事。
 それも抜き打ちのトップと言えば、服装検査だろう。
 ネクタイはしているか。
 ボタンはちゃんと揃っているか。
 生徒手帳は所持しているか、エトセトラエトセトラ…。
 僕だって、それのどれかが欠落しているからと言って、そいつがだらけているとは思っちゃいないが、小さな乱れが大きな乱れにつながるのは確かなことで、僕のチェックはそれなりに厳しい。
 元来の性質も手伝ってか、僕は風紀委員の鑑と呼ばれている。
 特に、今、目の前にいる二人には。
「…で? どうして葉山はノータイなんだ?」
 珍しいこともあるもんだ。
 僕ほどではないにしろ、葉山は違反しないヤツなのに。
 いや、コイツの場合、ものすごい校則違反を現在進行形でしているわけだが。
 まあ、今はそれはどうでもいいだろう。
 今の問題は、葉山のネクタイだ。
 昨日はしてたよな。
 耳まで赤くして俯いている葉山の隣を見ると、ニヤニヤと何やらしまりのない顔をした相棒がいて。
 ――まさか、コイツら。
 僕の感が外れていることを願いつつ、相棒に振ってやる。
「ギイ、葉山のネクタイは?」
 どうせ、おまえが何かしたんだろう?
「どうしてオレに訊くんだよ」
「どうせ、事情はおまえさんが知ってるんだろ? だったら、サクサク説明してもらった方が時間の無駄にならんからな」
 腕を組んで見下ろしてやれば、気障に肩をすくめたギイが
「どうもこうも、ちょっと悪フザケして汚しちまったんだよ。今朝購買に寄ろうと思ってたんだが、時間なくなっちまって現在に至る、と」
「ほう、なるほど。で、今日中には何とかなるんだな?」
「ああ、それは問題ないさ」
 ギイが応えてるってことは、コイツが買うんだな。
 これ以上、いらぬ薮をつついて蛇を出すわけにもいかないから、次へと行…
「……葉山」
 目に入ったモノをなるべく見ないようにして、不届き者を呼ぶ。
 幾分、声が低くなったせいか、葉山が慌てて顔を上げる。
「な、何? 赤池くん」
「…まだ暑いのは解るが、ノータイなんだから、せめてボタンは全部止めておけ」
 僕はそれだけ言って、次々にチェックしていく。

 ――あの野郎。今度見つけたら、ただじゃおかないからな。
 今日、服装検査があることを知っていてあの所業とはいい度胸だ。
 相棒を腹の中で罵倒しつつ、僕は任務を終了した。

END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ