Novel-11-

□かわいい人
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「あー腹減った」

「あっ不動さん!よかったら隣どうぞ」

不動は立向居に手招きをされ横に腰を下ろした。

「…げっ、今日トマトあんのかよ」

「不動さんトマト嫌いなんでしたっけ?」

「あぁ、食うか?」

そこで立向居の口角がすっと上がった…様な気がした。

「好き嫌いはよくないです!少しずつでも食べる努力をした方がいいと思います」

「…チッ、綱海コレやる」

「お、くれるのか?サンキュー」

立向居の眉がぴくりと動く。

「……不動さん、ダメじゃないですかぁ自分で食べなきゃ、ねぇ?」

「あぁ?別にいいだ…ろ……」

ふと不動は息をのんだ。


立向居の目が笑ってない…。


「そうだ!不動さん、ご飯食べ終わったら相談したい事があったんですよ!…俺の部屋で」

立向居の目は今だに笑わない。口角も釣り上がっている。

「…この後は用事があんだよ」

身の危険を感じた。


「聞いて…くれないんですか?」

次の言葉が紡がれるとさっきの表情が一変。
目に涙をためてこちらをみていた。


「聞いてやれよ不動ォー」

綱海がやりとりを見て横槍を入れる。




こっちの気も知らないで。




暫くの沈黙――――







無言の圧力に負けた不動は

「チッ…分かったよ」

と、返事をすると食器を片付け食堂から出て行った。

「あっ不動さん!待って下さーい」

続けて立向居が急いで出て行った。



 
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