Novel-11-

□お見舞い
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「…なぁ、今日鬼道ちゃん来てねぇの?」

チームメイトを見回していない事に気づく。

「なんか熱でたらしいぞ」

「…なっ……そうか」
(鬼道ちゃんが風邪ひくなんて珍しいな。…心配だ)

「不動っ」

「……!!…わりぃっ」

(ダメだ。心配で練習に集中できねぇ)


「……不動、そんな状態でやっても意味がない。今日はもう帰れ」

(どうせ鬼道が心配で練習ににが入らないだけだろう…)

「監督…すみません」



一目散に鬼道の家へ向かう不動。


ピンポーン――――


「はい」

「あっ、えっと…ゆ、有人くんの友達の不動…です…」

「少々お待ちください」


しばらくすると門が開いた。

「どうぞ」

「お、お邪魔します」
(でけぇー家だな…こんな家だったらメイドとか沢山いるし別に看病の心配なんていらなかったな)

「こちらです」

「…どうも」


コンコン――――


「……はい…ゴホッ…どうぞ」

「…き、鬼道ちゃん?」

「不動!来てくれたのか!…すまない…ゲホッ」

「…別に。風邪ひくなんて自己管理ができてねぇ証拠だな」
(あぁ…すげぇ辛そうじゃねぇか)

「…ははっそうだな」

鬼道は優しく笑う。

「…なんかやる事ある?」

「大体メイドがやってくれるからな。…そうだなぁ……傍に…いてくれ」

潤んだ紅い目が下から不動を見上げる。

「…チッ…しょうがねーなぁ」
(やべぇ、熱で弱ってるせいか甘えてきやがる。…か、かわいいな)

「すまない…」

「別に……」



カチッカチッカチッ――




(な、なにか話さないと落ち着かねぇ…)


「な、なぁ…」


スーッスーッ―――



「ね、寝てるのかよ…」


手元を見るといつの間にか鬼道が不動の手を握っていた。

(…どうすっかなぁ…)


「鬼道ちゃん…?」

(やっぱ起きねぇ…つーか寝顔可愛いな…//)


鬼道の頬に手をそえる不動。

(…ヤベェ…これを病人にやっちゃいけねぇだろ…)

そう思いながらも鬼道の唇に自分の唇を重ねた。


「……んっ!?」


寝ていたはずの鬼道がパチッと目を覚ました。

「…不動、おまえ…病人の寝込みを襲うなんて…」

「…いや、ち、ちげぇっ」

「何が違うんだ?……その気があったんだろう?」

鬼道の口角がつり上がる。

「い、いや…今日は寝てた方がいいんじゃねーか?」

「…最初に襲ってきたのはおまえだからな」
「ちょ、やめ…あっ、あっ、あぁぁーっ」





「…ん?今日不動はどうしたんだ?」

グラウンドを見渡す鬼道。

「なんか熱でたらしいぞ」

「何っ!?」
(この前のでうつしてしまったのか…)


「鬼道、行ってこい」
(…どうせどっかの誰かみたいに心配で練習なんてできないだろうからな)

「ありがとうございます、監督」


そして鬼道はどっかの誰かさんの元へと走って行った。






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この時期は風邪ひきやすいな、と思い書いてみました!
いやぁ、風邪ひいているのにハッスルさせてしまいましたよ(^^;でも悪化するどころか次の日には治ると言う驚異の回復力を見せた鬼道さんのお話でした。




 

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