穴の中
□始まり
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「もーいや!疲れた!」
どすどすと足を落とし
歩く少女、アリス。
「パパもママも、
お姉ちゃんが結婚したからって、
年端もいかない女の子に
お見合いさせようとする!?
まったくも──きゃっ!?」
彼女の言葉は途切れた。
木の根が出ていた所に
足を引っかけた。
そして
なぜか
「なんでこんなところに
穴があるのよーっ!!」
そう叫んでいた。
普通なら頭を打つなりの衝撃が
あると予想していたが…
急速に落ちていく感覚しかない。
現に、彼女は落ちている。
真っ逆様に落ちている。
「きゃぁぁーぁっ!!」
かくして、
彼女の冒険が幕を開けた。