Upside down Library

□谷山浩子(様)MIX
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『月森ー!明日、デートしね?』

この昨晩の電話の為、今日は少しだけ早起き。
愛しいあの子とやっとの事で結ばれたのは、8月の終わり頃だった。
熱心にプロポーズを繰り返し、漸く手に入れた大切な存在。
もう絶対に放さない。
そんな彼からのデートの誘いに胸を踊らせ、堂島家を後にした。



「お待たせ、陽介」

「月森ッ!んーん全然待ってねーよ!行こ」

二人きりで沖奈まで行き、食事をした。
その後は特に目的もなく、お喋りしながら人混みをすり抜け歩いて。
露店の花や、カメラ屋のショーウィンドウ。
以前と変わらないその平凡な美しさに、二人で訳もなく笑って。
通りすがりに見かける、ベビーカーに微笑む老夫婦や駐車場の猫達に和まされて。
他愛ないこんな日常が好きだった。
君といるこんな日常がたまらなく愛おしかった。










なのに





3月下旬のお別れの日。
皆が手を振り追い掛けてきてくれるのを、電車の窓越しに見つめ、また会える時に胸を膨らませ、目を閉じた。
その、時



「次は、稲葉、稲葉ー…―」


目を見開いた。目を閉じた、一瞬だった。

改札口の向こうで微笑む堂島さん。その後ろでもじもじしている菜々子。



「…そんな、」



今までの、俺達は…





(全部夢だったなんて
夢だったなんて
夢だったなんて
何もかも…―)





end.





グッドエンド主人公が2周目に来てしまった時です^^
なんか呆気なくなってしまいました汗
これでもシリアスです!
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