企画

□夕焼けこやけ
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練習熱心なのはいいんだけど、もう少し私の事も見てほしかったな。




なーんて思うのは私のワガママだってわかってる。あの人は真面目でサッカー一筋。私の入る隙なんて初めから無かったのかもしれない。




『はぁ…。』


再びため息をつく。ベランダの縁に手をついてグラウンドの方を見下ろすと、必死にボールを追いかけてる立向居の姿。


まだまだ部活が終わりそうもなく、グラウンドを見下ろすのをやめて空を見る。青から赤に変わっていくグラデーションがとてもキレイに見えた。



『帰っちゃおっかな。』


別に一緒に帰る約束をした訳じゃないし、ただ一緒に帰りたかったから待ってただけ。


教室に入りカバンの中身を整理する。帰る準備はすぐ整ってしまった。カバンを持ち上げた時、廊下をドタバタと恥じる音が聞こえ、私のいる教室のドアが勢いよく開いた。



「良かった。」


『な…なんで??』


教室に入ってきたのは部活中であろう立向居。息を整えながら私の前まで来た。


「帰るつもりだったの??」


『わ、悪い??』


「俺と帰りたくないってこと??」


立向居がいつになく真剣な表情をする。






『だって……別に約束をした訳じゃないし。いつもサッカーの事ばかり、サッカーが好きなのはわかるけど、もう少し…私の事も見てほしかったな。』


まばまきをするのと同時に涙が零れ落ちていく。立向居の顔がまともに見れずうつ向いていると、そっと胸に抱き寄せられた。



「ごめん。そんなこと思ってるなんて気づかなかった。けど、俺はお前がいるからサッカーに必死になれるんだ。…なんて綺麗事かもしれないけど。」





『……ずるい。』



「へっ!?」


『ううん。やっぱり待ってる。』



「おう。」



見上げた立向居の顔は夕陽のせいか赤く染まっていた。







END
『すっかり暗くなっちゃったね。』
「ごめん。」
『ううん、いいの。でもあの時よく私が帰ろうとしてるってわかったね。』
「ずっと見てたんだ、当たり前だろ。」
『えっ///』

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