企画
□頼れる背中
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私の周りどこを見ても赤、あか、アカ。死に逝く者は見捨てられ、生ける者は裏切りと殺人を繰り返す。
誰も信じてはいけない。否、誰も信じられない。信じた者がバカを見る。
私のいる世界は腐ってる。
そんな世界で私はまた刀を振るい殺人を犯す。
「一人殺せば人殺し、千人殺せば英雄。こんな世界間違ってる。そう、思わないかい??」
ゆっくり振り向いたそいつは薄く笑った。戦場にいるのに返り血ひとつ浴びてない。
『えぇ、全くだわ。でもこの時代に生まれたのが運の尽き。間違っていようがあっていようが、関係ない。』
握り締めていた刀を鞘に戻し、そいつの前まで歩いて行く。
「僕に背中を預けてみない??」
『…。』
「僕と一緒にこの腐った世界を潰さないかい??」
そう言って笑ったそいつに興味がわいた。
信じるつもりはないが、背中を預けるくらいいいだろう。
『わかった。』
答えた私の声はいつもより幾分か澄んで聞こえた。
END