企画
□Happy Birthday&Happy X'mas
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その夜、俺はそいつの部屋に忍び込んだ。決して夜這いではない。
赤と緑と光に染まるこの街も今日と明日がピークを迎える。
煙突から華麗に忍び込み、意外と無防備な顔をして寝ているそいつの枕元に、カラフルなラッピングが施された子どもの夢がつまった四角い箱を片方しかない赤い靴下の中にしまい込み置いておく。
そして再びえんt……
「ゴールド。可笑しなナレーションしてないで早く行くわよ。」
「そうったい。置いてくとよ。」
「ってか、置いていこうぜ。」
「待て待て待て…。今日はクリスマスだぞ。このくらいのナレーション必要だろ。」
先に行こうとするクリス、サファイア、エメラルドを止める。
「…あのねぇ、煙突からなんて入れるわけないでしょ。第一、煙突なんてこの家についてないし。」
「いいんだよ。子供の夢だぞ。」
「シルバーだってもう子供じゃないのよ。そんな、サンタを信じてるような……。」
クリスがシルバーの寝ているであろう部屋のドアを開けると固まった。
ピカピカ光るクリスマスツリーに、枕元には赤と緑の縞模様の靴下、布団の中にはぐっすりと眠るシルバーの姿。
「シルバーって意外と子供だったんだね。」
今まで興味を示さなかったルビーが部屋の中に足を踏み入れる。
「ビックリだわ。まだ信じてるのね。」
それに続いてクリスとサファイアも部屋の中に入る。
後ろでゴールドが必死に笑いをこらえてるのが見えた。
「ゴールド、笑ってないで早くプレゼント置いちゃってよ。」
「あ、あぁ。」
ゴールドがシルバーの枕元にプレゼントを置く。
「あぁっ、駄目ったい。ちゃんと靴下の中に入れんと。」
サファイアがプレゼントを丁寧に置いてある靴下の中に入れる。
「よし。早いとこ退散するわよ。」
物音をたてないように静かにシルバーの部屋を後にした。
「…………騒がしい奴ら。」
むくっとベッドから起き上がると靴下に入っているプレゼントを見つめた。『Happy Birthday&Happy X'mas』と書かれたメッセージカードが刺さっていた。
「……ありがとな。」
END
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