オリジナル

□楽しみひとつ
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昼休みが始まるチャイムが鳴り、私はいつもの場所へと向かう。


誰にも邪魔されない、私だけの空間。


特に今日みたいな良い天気の日には昼の一時を過ごすにはもってこいの中庭。




少し古ぼけたベンチに座ってお弁当を開ける。










「ねぇ、君。何組??」



上から声がしてふと顔をあげるとにこっと笑ったスーツ姿の男性。
茶色い短髪にメガネ、右手には何故か単行本。



誰だっけ。と考えたが校内にいるってことは学校の先生だろう。







『…2組、ですけど。』






「珍しい子だね。こんなとこで1人でお昼なんて。」




『ここ好きなんです。暖かいし、静かだし。』






「奇遇だね。僕もこの場所好きなんだ。」




「隣、失礼。」といって私の隣に腰かけ、単行本を開いた。

お弁当を食べながら隣を盗み見る。




メガネ越しに単行本を見つめる眼差しに思わず箸を落としそうになってしまった。












『…あ、明日もここ来るんですか??』



お弁当も食べ終わりまったりしながら質問する。





「そのつもりだけど、来たら迷惑かい??」



少し眉間にシワを寄せ単行本から私の方に目を向ける。






『いえ、そういうことじゃなくて…ここで声かけられたの初めてだったので。』



慌てて言葉をつけたし彼の顔色を伺うとクスッと笑みが漏れていた。








「君とは気が合いそうだ。あ、時間大丈夫かい??」





時計に目をやると午後の授業の5分前になっていた。お弁当を手に持ち慌てて立ち上がる。





『ヤバッ、私もう行きますね。』






「ん、また明日。」






『はいっ。』












何気ない日常にひとつ楽しみが増えました。





END


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