main(long・ヒバハル)

□第二話
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最近突然覚醒する天使が増えている。

それは前代未聞の事件だった。




「10代目、失礼します!」

「お久しぶりです、ツナさんっ!」

「二人とも遠いところまでお疲れ様」

笑顔で私たちを迎えてくれた優しそうな男の人。

それが10代目ディアマンテ、沢田綱吉。


私と獄寺さんはバディを組んで長期間の任務にあたっていたところ。

急遽戻ってくるようにとの伝令があったのだ。


「で、どうしたんですか?何か問題でも?」

獄寺さんが真面目な顔つきで尋ねると、ツナさんは深くため息をついた。

「そうなんだ。近頃中心都市のイリスを中心として突然覚醒する天使が増えてきてるんだ」

「覚醒っ!?」

「覚醒ですかっ!?」

私と獄寺さんの声が見事に被った。

一瞬お互い顔を見合わせて、顔をしかめる。

「そう、覚醒。それも突然なんて・・・・。信じられないでしょ?」

「えぇ・・・・」

神妙な面持ちでゆっくりと頷く獄寺さん。


「覚醒って、あの、邪悪化してしまうっていう・・・・」

あまりのことに震える声で尋ねれば、隣の男に思いっきり睨まれた。

「覚醒もしらねぇのかっ、このアホっ!」

「知ってます!知ってます、けど・・・・」

語尾が徐々に弱くなる。

すると後ろに立っていたイーピンが不安そうに声を上げた。

「あの、覚醒って・・・・。能力を使いすぎたり、あまりにもショックなことが起きると怒ってしまうやつですよね?」

「うん、そうなんだ」

その問いにツナさんが頷いた。

「普通は自分の能力の限界は誰に教えられなくてもわかる。だから皆力を制御したりするんだけど。」

そう。

普通の天使でも自分の能力の限界を出せば五大天使よりも勝る場合がある。

だが・・・・・。

「でもその限界を超えてしまうと覚醒、と言って邪悪化してしまうんだ。覚醒すると、・・・・まぁ要するに悪魔になってしまう」

そうなのだ。

覚醒した天使は悪魔になり、能力も体力も比べ物にならないほど上昇する。

しかし天使の絶対条件とされる品性、知性、善意が大幅に失われる。

そのため天界を追放され、『虐界』と呼ばれる悪魔の住処に送られるのだ。

そのため覚醒することは天使にとって禁忌とされている。


「それが、何の前触れもなしに突然、ですか?」

イーピンが恐る恐るというように再び訪ねれば、ツナさんは無言でうなずいた。


「そんなっ、有り得ませんよ!何かショックな出来事があったんじゃないんですか?」

「覚醒するほどショックな出来事と言ったら精神異常を起こすレベルのものだよ?それがイリス街中心にそんなに頻繁に起こるとは思えない」

確かにそうだ。

では、一体何が・・・・。

「その原因を俺たちに調べろというんですね?」

獄寺さんが落ち着いた口ぶりで話す。

「そうなんだ。他の皆にはもう動いてもらってる。獄寺君たちも今すぐにでも動いてもらいたいんだ」

「わかりました」

「任せてください!」

安心したように微笑むツナさん。

「僕もしばらくしたらすぐに加わるから。とりあえず二人にはイリス街の調査と覚醒した天使たちの様子を見てほしい」

「えっ、まだ虐界に送ってないんですか?」

覚醒した天使、すなわち悪魔が展開にいれば何をしだすかわからない。

正直危険だ。

「うん。一応様子を見てるんだ。もしかしたら元に戻るかもしれないし」

「そうですか。わかりました」

「くれぐれも覚醒した天使たちと接するときは気を付けてね」

「はい」

こういう時に『悪魔』と言わないのがツナさんの優しいところだ。

皆に尊敬される五大天使の頂点にふさわしい。

だから私も獄寺さんもついていく。



そうして大事件の一歩が始まった。



-続く-

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