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□弱い人
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「ハル、ハルッ・・・・・」

「はぁっ、ンっ・・・・きょ、うや、さんっ・・・・」





真っ暗闇。

ただポツンとスタンドライトがついているだけの寝室。

ベッドの軋む音。

お互いの熱い吐息。

淡い水音。


「ンっ、ぁっ・・・・」


彼はいつも、ゆっくりと私に触れる。

存在を確かめるように。

熱を確認するかのように。


今だって、片手は秘部に、もう片手は私の頬にあてられている。


「ハルっ・・・・」

何度も、何度も。

しつこいくらいに名前を呼んで。

返事をしなければ、下部に鋭い快感が走る。


「ひゃぅっ・・・・・」


私が声を上げれば、安心したような溜息。


「そろそろっ、いい・・・・?」


「んっ、恭弥さっ・・・・」


私が彼の首に手を回すのが合図。

熱いモノが一気に私を貫く。


「ひぅっ・・・・、ぁっ」

そこから絶え間ない律動が始まる。

まるで、声を途切れさせまいとするかのように。


「あっ、やっ、恭、弥っ・・・・さんっ・・・・」

「ハルっ、・・・・っ」


段々早くなる。

お互い息が上がる。

まるで過呼吸にでもなったような。


生きてる、って感覚。




「んあぁっ・・・」

「くっ・・・・・」






彼にとってコレは欲を満たすためだけのものじゃない。


『生』を感じる唯一の手段なのだ。





弱い人


恭弥さん、また一人、殺したんですね?
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