flowers

□アザミ
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触れないで。


触れたらもう、全てが終わってしまうから。






「知ってたんだ」


「止めてください」


「僕の父がしたことも」


「止めて」


「君がどれだけ悲しんだかも」


「止めてっ!」


「だから君を迎え入れた」


「打ちますよっ?!」


「打てるんなら打てばいい」


「っ・・・・!」


「君のために何かしてあげられるなら」


「お願い・・・・」


「できるだけ君を幸せにしてあげたかった」


「お願いだから・・・・」


「心惹かれてはいけないと分かっていた」


「そんな目でハルを見ないでください」


「君を愛する権利がないのは分かっていた」


「ハルはっ・・・・」


「だけどもう遅かった」


「私は、貴方を愛せない」


「そう、君は僕を愛せない」


「そう、・・・・そうです・・・」


「だから、僕がかなえてあげられる唯一の君の願い事」


「願い、事・・・・?」


「僕を殺して」


「願い事・・・・」


「君の復讐を叶えてあげる」


「そうです、・・・・ハルは、復讐のために・・・・」


「ここに来たんでしょう?」


「その通りです・・・・」


「大丈夫、君は殺せる」


「だ、め・・・・」


「大丈夫だから」


「だめです・・・・」






「泣かないで」





「触れないで」








貴方に触れられたら。



きっと。



貴方を愛してしまうから。














パンッ












でも。


触れてほしいと思ってしまう。





だから、これは『復讐』





私を思って、一生苦しめばいい。



いなくなった私を、一生愛せばいい。




愛して。












暗くなる瞬間。



アザミの香りがした。



二人で行ったあの庭の。





綺麗な、綺麗なアザミの香り。








-アザミ-

『復讐』『触れないで』

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