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□彼女だけが知っていたこと
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真っ黒い髪。

真っ白肌。

真っ赤な血。





目の前には苦痛に顔をゆがめるハル。

その上に馬乗りになって、首を絞めている自分。


彼女の口の端からは血が出ている。

どうやら先ほど二、三発殴ったので口の中が切れたらしい。

酸素を求めて緩く開かれた口内に舌を侵入させれば血の味がした。


「んぅっ・・・・っ」

ハルが苦しそうな声を漏らす。

彼女の口内は血の味がした。



簡単に折れてしまいそうな首。

このまま力を入れ続けたら彼女は死んでしまうのだろうか?

まぁ、それはそれでいいかもしれない。

誰にも取られない。

永遠に僕のモノ。



「っ・・・・・、んっ」

ふいに胸を拳で叩かれた。

それに全く力は入っておらず、とても弱弱しいものだった。

口を離すと、透明な糸が伝う。

「何?」

空いているほうの手でハルの拳を包み込み、ベッドに押さえつければ、彼女は必死で首を横に振っていた。

「言ってくれないと分からない」

言えないようにしているのは自分だというのに。

何という矛盾。


彼女の瞳は生気を失いかけていて。

ただでさえ真っ黒い瞳が、もっと黒くなっていくような気がした。


「ねぇ、そろそろいい?」

そのまま返事を待たず、自分のものを相手の秘部に挿入させる。

「んんんっ!・・・・っ」

まだあまり濡れていないせいだからだろうか。

ハルはびくんと大きく痙攣したかと思うと、体を弓なりに反らした。


そのまま律動を始めると、彼女は投げやりになったかのようにゆっくりと目を閉じた。


ドゴッ


その瞬間、自分の拳が思いっきりハルの腹部にえぐりこむ。

「っっ、ごほっ・・・・ぅあっ」

驚いたように目を見開けば、苦しそうに咳き込むハル。

「ちゃんと見てなよっ、僕のこと」

そのまま真紫になった彼女の唇に口づける。

「きょ、・・・や、・・・さ、ん・・・・」

「っ、何?」

徐々に動きを速めれば、それでも快感は感じているのか、ハルはうっとりと目を細めた。

「な、・・・・・ぃでっ、っ」

まるで喉が潰れたかのようなかすれ声。

途切れ途切れで聞き取れない。

「っ、そろそろ限界なんだけどっ・・・・」

僕の言葉に彼女はコクリとうなずいた。


「っっ、ぁっ・・・・・!」

「くっ・・・・、」


二人同時に果てれば、ハルはゆっくりと僕の頬に手を添えた。








「なか、ないで・・・・、恭弥、さんっ・・・」








そういって静かに閉じられた彼女の瞳。




滲んでゆく視界の中で、自分の手が彼女の首からゆっくりと離れるのを見た。




彼女だけが知っていたこと


どこから間違えた?

何を間違えた?

ただ、君の全てが欲しかっただけなのに。
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