記念部屋

□君に恋する5秒前
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「─傑作だぜ」


少年は禍々しい刺青を歪めて笑った。


それはこんな状況じゃなかったらコロッと落ちてしまいそうな笑顔で。


なにかを言わなくては。


そう思っても言葉が湧いてくる訳ではない。


『わたしを殺さないの?』


やっと思い付いた言葉がそれって…!


わたしは馬鹿か!


「好みのタイプのやつ殺すわけねえだろ」


『君さ、恥ずかしいこと言ってるのわかってる?』


「かはは。恥ずかしいこと言ってる自覚はねえよ」


不思議な感覚だった。


まるで友人と話しているような錯覚に陥る。


会ってまだ1分もたって無いのに。こんな状況なのに。


更にもう1つ不思議なこと。


初対面の彼。


全くの他人。


なのになんでわたし、こんなにも頬が熱くなってんの?
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