アナザーストーリー
□未定
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「はぁぁぁぁぁ…やっと着いた」
大きな町の入り口を見て、僕は大きくため息をついた。
ここまで辿り着くのに、どれほど時間を要したか。
思い出すと、泣けてくる。
「とりあえず、食事だ…」
僕はヨタヨタと歩きながら、町の中心を目指す。
初めて来た町だが、活気があってとても雰囲気がいい。
道中様々な動物にも襲われたが、そんなことはもうどうでもいい。
今はただ、口いっぱいにものを詰め込みたかった。
「いらっしゃいませ、お一人ですか?」
愚問だ…どっからどう見ても、こんな薄汚いマントに身を包んだ、不潔感満点の男に付いていこうなんて物好きは居ないと思う。
皮肉か?
空腹というのは、人間を本当に短気にするみたいだ。
出迎えてくれたのは、とても気のよさそうな女性で、その言葉に裏などあろうはずのない笑顔で出迎えてきてくれたにもかかわらず、僕はくだらないことを考えてしまい、ちょっと後悔した。
「ええ、何か食べるものありますか?」
馬鹿か僕は…食堂と書かれたお店に食べ物が無いわけが無い!
「それが、なんにも無いんです」
「えっ!」
女性の言葉に、思わず大きな声がでる。
その声にかなりびっくりしたのだろう。
女性が、目をまん丸にしてこちらを見る。
それから、女性が思わず噴出す。
「嘘ですよ。ここは食堂ですよ?変なこと聞かないでください」
僕は思わず女性を睨みそうになるのをこらえて、慌てて愛想笑いをする。