SS置き場

□未送信メール
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「おいラグ、ケータイ返せよ!」

「いーじゃん別に!」



「なんだよ、どうした?」

「あ?シーン?べっつに……」


「返せ!」

「あー!!」




「ったく……ラグが悪いんだ!」


ジェナスが指差した方を、シーンも向く。
バツの悪そうに視線を外したままのラグナ。


「オレがメール打ってる途中に、いきなりかっさらってったんだぞ!」

「だってヨ、ジェナだってケータイ開けっ放しでフツーに置いとくし、
ずっとそれいじってばっかで考えてんだゼ?
気にもなるだろー!?」

「分かった分かった。やめろって。な?
ラグナ、それはお前の方が謝んねえと。だろ?」


「そりゃ……ソーリィ、ジェナ」

「まあ、いいけどさ。もうするなよ」


「そうだジェナ、シャシャがハンガーでお前のこと探してたぞ。行ってやれよ」

「?なんだろ。
分かった。サンキュ、シーン」

「ああ」



「……さて、と。
ラグ」


「!んだヨ、まだなんか」

「そうじゃねえ、忠告だけだ。そうすぐ噛みつくなって!
お前なあ、フォローしてやったんじゃねえか。ばれないようにやれよ。
ったく……ま、気になるのは分かるけどな」

「オ、オレはなんも気にしてねーって!?」

「はいはい、そういうことにしといてやるよ。
だけど、お前も早くジェナに送っとけよ」

「ホワット?なに……」


「メールでもなんでもいいけどな。分かってんだろ?
お前の気持ちの中にあるヤツ。
ずっとそのままでもいいなら、ジェナは俺がさらっちまうぜ?」


「な!シーン!?おまっ……、ちょっと待てヨ!!」


くくっと喉で笑いながらシーンが歩いていく。
見透かされていることよりなにより、ラグナはその余裕が悔しくてたまらない。



「くっそ……シーンの奴、スカしやがってー!大人ぶってんじゃねーっての!
オレだって、オレだってなー!!」


オレだって、そんなメールとっくに書いてるっての!

送信ボタンが見当たんねーだけ!


見てろヨ!

バトルが終わったら、オレとジェナがコンビじゃなくなったら

そしたら――!!

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