東方怠惰談〜幻想入り〜

□粕情「送り送られ夢違え」
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こいし
「公真も外来人だから、なんとなくその外来人も気になってね。その外来人の名前を訊いてみたの」



そういや俺もその外来人の名前は知らないんだよな……



近い年齢ならともかく、中年の外来人の名前を知っても仕方ないもんなぁ。



公真
「へぇ、どんな名前だったんだ?」



こいしも話したげなので訊いてみる。



こいし
「それがね、『鵲 天化(かささぎ てんか)』って名前なんだって」



公真
「ゴホォ!? ゴホ……ゴホゴホ……」



こいし
「公真と同じ名字だから驚いたよ……というか今の公真の反応に驚いたよ。大丈夫?」



公真
「……あんまり大丈夫じゃない」



鵲天化…………嘘だろ?



こいし
「どうしたの? そんなに同じ名字に驚いた?」



公真
「同じ名字というか……鵲天化ってのは俺の親父の名前だ」



こいし
「えぇ!?」



たしかに親父は今年で48歳……



こいし
「それって公真が幻想郷に来たから、お父さんも追い掛けて来たってことかな?」



公真
「親父に『公真が幻想郷に居る』なんてわかるはずが無いだろ。だいたい俺と親父は離れて暮らしてたんだ。連絡手段も無かったし、俺が行方不明になっても親父の耳には入らないんだ」



こいし
「親ってのは子供の身に何かが起きたら自然にわかるもんなんだよ?」



公真
「何気なく良いこと言ってるけどさぁ……俺の親父はそこまで立派な親じゃないぞ」



こいし
「そうなの?」



公真
「そうなの!」



今思うと、家族が離れるまで親父はロクに働かないでどうやって俺と兄貴を養ってたんだろうな……



こいし
「ね、お父さんってどんな人だったの?」



『だった』って死んだみたいに言うなよ……

 
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