東方怠惰談〜幻想入り〜
□意味符「幻想郷の常識」
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…………………………
目を閉じてる間に周囲の空気が変わった気がする。
さっきまでジメジメしている森の湿った空気の中に居たのに、今は少し涼しい空気が俺の周囲を取り巻いている。
……もう、目を開けてもいいだろうか。
……いいよな。
公真
「……ん……」
……真っ暗だ。
目を開けたはずなのに、俺の視界は真っ暗だ。
さっきの妙な女性も見当たらない。
いや、居たとしても見えないが。
……とりあえず動いてみるか。
適当に真っ暗闇の中を歩き回ることにした。
ザッザッ……
……地面を歩いている感覚だ。
どうやらここが屋外であることは間違いなさそうだ。
なのに何故真っ暗なのだろう。
たとえ今が深夜だとしても、ここまで暗い訳が無い。
ザッ……
ゴツンッ!
公真
「あだっ」
歩いてわずか三歩目で何かにぶつかってしまった。
声
「あいた……また木にぶつかったのかな……ま、いっかー」
ぶつかった『何か』から幼いような声が聞こえる。
恐らく、この声の主は木にぶつかったと勘違いしているのだろう。
公真
「……っ!」
その瞬間、視界が急に明るくなり、目の前には草原や道が広がっていた。