邪悪な鎖の罠
□Retrace:V
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「鳥の囀り。差し込む陽光。いやぁ〜お茶を飲むには最高のシチュエーションですネv」
いい加減ティータイムは終わりにしてください。ブレイク。
「不謹慎ですよ。」
シャロンが暢気にティータイムを満喫しているブレイクに叱る。
「いーじゃないですか、シャロンお嬢様。道″がつながるにはまだ時間があるでしょう?」
にしても、
「遅いですネェ。そろそろ来てもおかしくないんですが。あ、君もこっちでアメでも食べないカイ?」
ブレイク達から離れて座る黒い服装の青年に話しかける。
「結構だ。」
「…そんなに緊張してるとォ、出来ることも失敗しちゃいますヨォ?」
棒付きキャンディを噛み砕き、ゴミになった棒を器用に遠くまで飛ばす。
「ただでさえ今回の任務はレインズワース家の独断デス。組織に対しても内密のことなんですからしっかりやってくださいネー。」
「…大丈夫。失敗などしません!」
力強く言うシャロン。
「アイリがまだ来ていませんが、アイリのことです。遅れてくるでしょう。」
にっこりと笑いながらそう告げる。
それに乗っかってブレイクは言う。
「彼女らしいじゃないですカ。遅れて来ないなんて、気味が悪いだけですヨ♪」
『誰が気味が悪いって?』
あ、来てたんですカァ?
と言うザークシーズはきっと惚けてるだけだ。
『なんなのさ。私は急いで来た方なんだぞ?』
「…さあ、アイリも着たことですし、そろそろ準備を始めましょうか。」
お嬢様もザークシーズの味方か?
―――― ピシ・・ ――――
…ああ、どうやら。
「ブレイク?アイリ?」
ザークシーズはお嬢様を引き寄せ庇う。
アイリは楽しそうに口元を緩ませた。
『準備なんかしなくても、いいみたいだ!』
突然部屋の中心におおきな竜巻が起きた。
だんだん強い風が収まり竜巻が消えると、懐かしい…
少年の姿があった。
「自力でアヴィスから出てきちゃいましたヨー彼。」
「ありえません…、こんなこと。」
黒い服装の青年は、血だらけの服装の少年をそっと抱き締めた。
『結果オーライってことなのさ!』
「そう、ですね…。」
お嬢様は少年の…いや、オズの頬に手を添え言った。
「…ようやくパンドラの鍵を手に入れました。これでもう後戻りはできませんね。」
ここから、また残酷な運命が待ち受けるんだ。
それはオズが開く道に限るけど、
オズにとって良い方に行くか
最悪な方に行くか。
「たとえこの方が破滅をもたらす堕天使だとしても――――」
私はね。
正直どちらでもいいんだ。
真実を知ってくれば、ね。
『…で、お前は誰なのさっ!?』
「「「は?」」」
え、三人声会わせなくてもいいじゃないか。
『黒い服装の青年。見たことがない。』
ん?金色の目…
『ギルバートに似てるな。』
「いや、彼はギルバート君ですヨv」
――…ギルバート。
『ギルバート?』
「あぁ…?」
おまえ…
『かっこよくなったな…。』
あんなギルバートが、…私はどれくらいギルバートを見ていなかったんだろう。
…9年ぶりか?9年ぶりだ。
ずっと私はパンドラにいたんだ。ああ、でもザークシーズはギルバートの成長を見てきたんだよな。私は…いいんだ!ヴィンスだけで私は充分なのさ!
『ギルバート!ひさ……ん?』
シーン――…
『ははっ、ひどいのさ。』
誰もいない。
「…よかったのか?」
「大丈夫でしょう。そのうち来ますヨ。」