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□雑記ログ
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【紫陽花と姫女苑】
日差しは暖かい。暇な時間、姫女苑はいつだって線路を見ていた。
この寂れた無人駅、あまり通らない電車を眺めるでもなく、線路の先。地平線で見えなくなる先までを毎日見ていた。
「たのしいの?」
「んーまぁわりと」
「ジョージちゃんはどっか行くの?」
「行きたい、んだげどねぇ……」
線路の行く末に思いを馳せるのが好きなのだろう。だからここから出たいなどは思ってもいない。
けれど、あの間抜け面な弟に世界を見せてやるのが、少々面白そうだとは思った。
「電車はね、いろんなとこいけるよ?」
「……んだなぁ」
(線路は続くよ どこまでも)