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□雑記ログ
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【紫陽花とタンポポ】




 ふわふわ揺れる白い綿毛。

「ぽーちゃん」

 話しかけても俯くだけ。綿毛は飛ばずに落ちてしまった。

「ぽーちゃん」

 痛いのだろうか。辛いのだろうか。
 それとも怖いか。
 芽吹かず花見ることのない綿毛は悲しいのだろうか。

「ぽーちゃん」
「……失せろ」

 重々しく開いた口から出た暴言。
 土埃で汚れた綿毛は、憎々しげな目で紫陽花を睨んだ。
 けれど、その瞳に写った紫陽花は笑顔だった。



(やっとこっち向いたね)
(大丈夫。君は飛べるよ)




          
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