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□雑記ログ
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【14歳な二人 ※男の子side】




 自分は潔癖で神経質。加えて不愛想だ。
 それを欠点だとは思ったことがないが、少々煩わしいとは思ったことがある。
 もう少し能天気なら、彼女――僕の女神の願い事も聞けるのにと。

――竜君。ふーちゃんと仲良くしないとだめですよー。

 同じ年なのだからと。彼女は交友関係の少ない僕にそんな事を言った。
 彼女の細やかな気遣いに感動し打ち震えるのと同時に、心配をさせてしまった事に己を叱咤し、改めて恥ずかしくなった。
なるほど、同年代(女なのは些かどうかと思うが)同士なら本来は仲良くすべきなのだろう。
 いや、本当は全く必要性は感じないが。
 そう、僕は彼女が望むのなら喜んでどんな奴とでも仲良くなろう。
 なろう。
 な


「なれるかぁああああああ」


 全力で叫んだのは何も気絶したオオイヌノフグリに対してではない。が、それでもあの女と仲良くなれる気にはなれなかった。
 確かに挨拶もせず店に入ったのは悪かった。目つきが悪いというのなら謝ろう。本名を呼ばれるのが苦手なのは知ったことではないが、まぁすまなかった。
 
 しかし。
 何故カウンター内でオオイヌノフグリが倒れ、心配して“カウンターの外”から覗いていた俺が。

 『今ふーに何した?』
 『はぁ?朝顔いつから其処に…』
 『恋人持ちのふーを手籠めにしようとは若いのに中々やりますね…』
 『藤?何を言って…は?』
 『fuc● you』
 『誰だ!?今中途半端な英語使った奴!おい!』
 

 そんな経緯で某一家に追われる俺。どこのモンスターペアレントだ。
 過保護なんてレベルではない。どれだけ自分の所の娘を可愛いと思ってるんだ、勘違いも甚だしい。
 いっそ此の侭、瓢箪に押し付けてしまおうかとも思った。あんな家族と仲良くできる猛者ならそれくらいで問題になることもあるまい。
 いや、そもそもあんな奴らと住んでいるオオイヌノフグリは必然的に彼女自身に問題があるのでは……?
 そうだ、よくよく考えれば勝手に倒れたのはオオイヌノフグリであって、僕には何一つ過失はなかったはずだ。そう考えると、これは彼女の隔てた計画なのではと思えてくる。
 ふ ざ け る な
 確かに僕は不愛想だろう、だからと言ってこれでは余りにも一方的ではないか。今後あの料亭には瓢箪に酒を持って行かせよう。そうしよう。
 今後一切。僕はあの集団恐喝共とは決して関わる事のないようにしよう。
 笑顔で物凄い剣幕という異様な奴らに追われながら、僕は愛しのあの子を思い浮かべた。

 ――あどえー。ふーちゃんはとっても優しくってかわいいのです!


 僕の心が洗われるような笑顔で言ってくれたトリ子ちゃん。
 すまない。けど僕は絶対あの女とは仲良くなれない。



(なってたまるかぁ!)



***
仲良くは無r(ry
和風一家のあるあるだと思う件。



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