光ヶ丘鉄道の一日(小説版)

□光ヶ丘鉄道の一日(小説版)前編
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2話 回想録…ひばりヶ丘鉄道からの乗務員とC12到着
(元:光ヶ丘鉄道の1日 2話)

「ひばりヶ丘鉄道…か」
 三ノ輪機関区で(蒸気機関車)C12が、かつて在籍した鉄道の事を思い出していた。

 それは随分前の事だった。
 ひばりヶ丘鉄道の車両区から、あおぞら銀河鉄道から来たという機関車に連絡線のトンネルの途中まで牽引されてきたら、トンネルの中で停車。今度はそこから別の蒸気機関車…C56に牽引されて、この鉄道まで来たのだった。
 そしてC12と一緒に、ひばりヶ丘鉄道から1人、乗務員が一緒に移ってきたのだった。
「サンダーバード、お疲れ様」
 光ヶ丘鉄道三ノ輪駅で、681系を降りた白雪Pは車両を労った。
「ここが、光ヶ丘鉄道…」
 白雪Pの後を追うように、元ひばりヶ丘鉄道乗務員、桃園Pが出てきた。
「(桃園)あかりさんもお疲れ様。これから三ノ輪機関区まで向かうわ」
 白雪Pと桃園Pは再び列車に乗り込み、三ノ輪機関区へ向かった。
 その後を追うように、C56に牽引されたC12も三ノ輪機関区に到着した。当時、このC12と桃園Pがいたひばりヶ丘鉄道は廃止を発表しており、従業員や車両の転出が進んでいた。

「それじゃ、C12の試運転ね」
 移って来て早々、2日目にはC12の整備を終えて、試運転することになった。
「この貨車とC12を連結ね。ところで、入換操作とかはやったことある?」
「入換指示を出す役目が多くて、操作はやったことないですね…。後でちゃんとできるように頑張ります」
 桃園Pは機関車の運転はあまり得意ではなかった。ひばりヶ丘鉄道にいた時も、入換操作は同僚の乗務員が行い、自身は誘導をする事の方が多かった。
「分かったわ。今回は私が動かすから、あかりさんは入換指示をお願い。いずれは操作もやってもらうからね」
「分かりました」
 桃園Pの指示で、白雪PがC12を操作する。
 ガチャン…
 やがて貨車と連結が完了すると、試運転に走り出した。

 試運転を終え、三ノ輪機関区に戻ってくると、2人はC12の点検をした。
「営業運転も大丈夫そうね」
「ありがとうございます」
 ちょうどその時、旅客運用を終えたトーマスとC56が機関区に戻ってきた。
「今日の運用終わった」
「C56さんもお疲れさまね」
 C56はC12を架空世界連絡線のトンネルの中から三ノ輪機関区までけん引してきた後、客車を連結して旅客運用に入っていたのだ。
「本当に疲れたわ…」
 トーマスに乗っていた愛乃Pも降りてくると、白雪Pの傍にいる1人の乗務員と機関士の事を聞いた。
「ああ、あなたが今日来たという…」
「そう。今日から私たちの仲間に加わる、桃園あかりさん。そしてC12形蒸気機関車ね」
「はい。ひばりヶ丘鉄道から来ました、桃園あかりと申します」
「初めまして。私はC12形蒸気機関車です。元々はひばりヶ丘鉄道で走っていました」
 桃園PとC12が挨拶すると、愛乃PやきららPも挨拶する。
「私は愛乃というのよ。これからも宜しくね」
「私は水ノ川きららと申します。元々あおぞら銀河鉄道にいた乗務員です」
 きららPが自己紹介をした時、桃園Pは驚きの声を上げた。
「えっ!? あおぞら銀河鉄道にいたんですか??」
「ええ…」
「それなら、青村絵美っていう運転士、知らない!?」
「青村さんなら、私の先輩だった運転士ね。それがどうかしましたか??」
「絵美の後輩なのね…」
「そうですね。直接指導していただいた事はありませんが、頼りになる先輩でした」
「なるほどね…」
 桃園Pは納得したような表情をした。
「これから大変になるけど、宜しくお願いね」
 白雪Pは桃園Pに言った。廃止近いひばりヶ丘鉄道から、これから発展するという期待を持って、この光ヶ丘鉄道へと移ってきた。今更後悔しても仕方ない、今はただ、ひたむきに頑張るしかない…桃園Pは心に誓っていた。
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