【小説】
□わがまま
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今日は…
めずらしく一人の見廻り
寒いから
ガミガミと怒る人だって
いないから
駄菓子屋によっていこう
なんて思って
さっきまで座っていた
ベンチから離れ、
歩きだした瞬間だった。
『ヲイ。沖田。』
聞こえたのは、
男所帯の屯所では決して聞くことのない
可愛い声…………
振り替えると、
『おぅ………チャイナか』
初めて出来た
歳の近い
俺のライバル
『なんでぇ………?』
いつものストリートファイトが繰り広げられる展開を予想していたおれは、
身構えていたのだが、
向かいにいるチャイナの
小さな小さな、
白い手は、
意外にも
おれの額にとまった。
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