If they are...

□バレンタイン
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「おい!!おーい!!」



聞き覚えのある声が俺の耳元で響いてる…。




うるさい…。




「目ぇ覚ませよコラ!!」



今度は肩ひっつかんでゆすってきやがった。




誰だウゼェ…。



誰だ人のことゆっさゆっさする失敬な奴は…!!




「ナルト!!」

「…何ッ!?」



ハッと目を開けて前を見れば、すぐそこにサスケの顔があった。



何故だろう…。

すごく泣きそうな顔してる気が…。



「…どうしたんだってばよ。」


一応聞いてみる。


「どうしたっておまっ…よかった…死んでんのかと思った。」

「は?」

「いやだって、
さっきの英語の時間からずっと机に突っ伏してんだもん。
それは誰だって死んだのかと思う。」

「寝てただけなんですけど!!」



なんだよもー、こいつは!!


人がせっかく安眠してたのに!!


この、睡眠妨害魔め!!



「つーか、何の用だよ…。」


目の前の後頭部トサカ頭が何かを求める目で見てきていたから訊ねてみたけど、

彼は犬みたいにはっはっと荒い息遣いをしているだけで、用件を言おうとしない。



あの俺…用なしで来られんのが一番ムカつくんですけど…!!



「ってゆーか何そのお前の目の輝きよう!!
何か嬉しいことでもあったのか!?」



尋常じゃねーよ!!

まるで、まだ穢れを知らない小さなガキの目だ!!



「嬉しいこと…あったっつーよりは、ある予定…?」

「え、何で疑問形…」

「ほら、明後日にさ…w」

「あー、はいはいはい。」


サスケのその一言で、奴の言いてぇことは完全に察知した。



…チッ。いつか来ると思ってたんだよな。



「…バレンタイン?」

「イエス!!」

「で?それが何?」

「何ってアンタ…じらしやがってこのぉ


14日のことを考えるのがおっくうになって、わざと冷たい態度をとってみた。


サスケはキレるんだろうなと思っていら、

予想してなかった反応…。


サスケは俺にじらされて嬉しかったのか何なのか、
俺の両ほほを手で引きのばしてきた。


「俺をじらすなんて、100年はえーぞコラ

「痛い痛い!!ほほ引っ張るな!!」



何で今日はこんなにテンションたけーのこいつ!!



しかもなんか、サスケが語尾にハート付けるとスゲーキモイ!!



「で、マイハ二ー?★」

「…はい。」

「愛の印…チョコ、くれるよな?w」


超、満面の笑み。
もらうこと前提で話を進めようとしてるよこの人…。


「…めんどくさ。」

「は!!?」

「大体、俺はれっきとした男子だぜ?チョコなんて…誰がやるかよ。」

「受けのくせに…!!攻めの俺にバレンタイン渡さないだと…!?」

「受け言うな小っ恥ずかしい!!
それにお前、甘いの苦手なんだろー!?チョコなんてくそ甘いのもらったって、しょーがねーだろーが!!」

「ビターなら食える!!」

「自分で買えし!!」

「なっ…そしたらバレンタインの意味がないだろ!!
あ、そうだ。お前が買うの面倒だったら、別に手作りでも全然OKなんだぜ?w」

「もっとめんどくせー!!」

「それかアレ…裸の上に溶けたチョコ乗せてうんぬんっていう…愛の営みでも俺は構わない。」

「よくあるよな。そんなプレイ。」

「ノッ…ノリ悪ッ!!」

「だぁって…興味ねーもん。」

「は…?ちょ…興味ないって…」

「いや、バレンタインには興味あるぜ…?でも…逆チョコには…別に…」

「俺を女役にまわすなくそ。」

「くそ…?」

「いいか…?お前はハニー、俺がダーリン。そう考えると、やっぱハニーであるお前が、俺にチョコ渡すべきだろ。」

「ハニーじゃないもん。俺。」

「でも俺のハニーだろ!?」

「…さぁ?」

「…んだそれ。」


テンションを落としたサスケはそう呟くと、すたすたと俺の前から去ってしまった。



アレ…?
ちょっと言い過ぎたか…?



「サスケ〜、ごめんってばー。
んなキレた態度取るなよ。」


サスケの態度急変に不安を抱いた俺は彼の背に向かって謝罪を入れてみたけれど、

アイツは一回こっちを振り返り、俺にべーっと舌を出しただけで、「水月!!」と同室人の名前を呼んで2人でどこかに行ってしまった。



は?ちょ、べーって何だよ!!



それが人に物を頼む態度なのかよ!!



「腹立つわー。」



もう絶対、サスケになんかチョコやんねー!!










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