If they are...

□冬の温もり
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1月。



冬休みが終わってからというもの、
日に日に寒さが厳しくなっている気がする。



1月ですでにこんな寒いのに一番寒くなるって定番の2月なんかはもうどうなっちまうんだろう…。






「うぅ…さっびー…。」



今日の授業が終わって教室から出たときに思わずそう呟いてしまった。



今日の最高気温5℃。



凍てつくような空気とはまさにこのこと。



「もう早く夏になれよー…。」



最近毎日そう思う。



ずっと暑いのも嫌だけど、

暑いのがいやだからといってここまで寒くすることはねーだろうに。



冬は風邪ひきやすくなるし。



冬のいいとこっつったら雪が降ったときに雪合戦できるとかスキーができるとかだけじゃね?


大体、その冬の遊びに必須な雪も近年じゃあ地球温暖化でなかなか降りにくくなってるって聞くし。



「だーもー!!
冬なんていらねー!!!」



俺は寒さを紛らわそうと大声を出して
寒さに身を縮こませながら足早に自分の寮へと向かう。




と、不意に後ろからバサッとコートを被せられた。


「うわっ!?」


何かと思って横を向けば
何故か満面の笑みを浮かべるサスケの顔。


何がそんなに嬉しいのだろうか…。


「寒いんだろw」


彼はニヤニヤ笑いながらさらに顔を近づけてくる。


「…当たり前だろ。」

冬なんだから。

「暑いっていう奴の方がむしろおかしいって。」

「確かにそーだなw」


満足そうにサスケは俺の頭を軽く叩いてくる。


「お前、なにがしたいの?」


冬になったからなのか調子に乗ってベタベタしてくるサスケに若干嫌気がさして訝しげに彼の方を見れば

彼はYシャツにセーターだけというなんとも寒そうな格好をしていた。


「…サスケ、寒くねーの?セーターだけで。
てゆうかこのコートお前の?」


鼻と鼻がくっつくくらいまで近づいてくるサスケの顔から自分の顔を引きながら質問する。


「うん俺の。」と彼は答えた。


「それに寒くねーよ。」

「え!?セーターだけなのに!?
おめー、超人だわ…。」


尊敬するわマジで。


俺も寒さに耐えられるような男になりてぇ…。


「おい超人ってなんだよ。大袈裟だっつーの。」

「だって、寒くないんだろ?」

「そりゃあな。
見ろ、セーター三枚着てるんだ俺は。」


言いながら自らのセーターをめくって見せてくれるサスケ。


「三枚!?
すげー防寒対策…。」

「あと、シャツの下にユニクロのヒートテック。」

「あったかいよなそれ。」

「二枚。」

「二枚!?
どんだけ寒いの怖がってんだよお前!!」


前言撤回!!

尊敬とかいってごめんなさい!!


こんな防寒対策ばっちりのコイツに比べて、セーター1枚Yシャツの下ノッスィングで毎日過ごしてる俺の方がよっぽどすげぇや。


「何だよ。
じゃそーゆーお前はこの下どうなってんだよ。」


サスケは眉をひそめつついきなり俺のセーターをまくってズボンからYシャツを引っこ抜いてくる。


「何って俺は別に…ってなにしてんだよ!!
さみーからやめろ!!」


それに恥ずかしいだろうがこんな人前で!!


俺は慌てて奴の手を振り払った。


Yシャツを引っこ抜かれて一瞬だが外の冷気に触れたわき腹部分が妙にピリピリする。


「…ナルトあんた…Yシャツの下何も着てねーの?
そりゃ寒いよ。」

「そんなの重々承知だってばよ…。」

「風邪引くぞ?」


そう言って俺を心配しながらも腰に手を回してくる彼。


だから人前でベタベタベタベタしてくんなってばよー。


周りの奴らに俺たちが変な関係だって誤解されたら困るだろー?


…いや
もう変な関係か。


だったらせめて、その関係がバレないように努めてくれよ…。


俺はサスケからなるべく距離を置こうとするが、
奴の腰に回してきている手が邪魔でどうにもならない。


人目を気にしながら歩いていると
サスケは突然俺の手を触ってくる。


「冷たっ」


感心しながら一言言った。


別に感心するようなことでもないだろうが…。


「氷みたい。」

「うーん…
そうなんだよ…。手、冷えすぎてもう感覚すらねぇ…。」


試しにグーパーしてみるが
やっぱり力が完全に入っていない。


「そうか…。
だったら…、」


サスケは呟くと腰に回していた手を引っ込めて、
今度はそれで俺の手を握ってきた。


「こうすればあったかいw」


手袋より効果倍増だ。
そう付け足してルンルン気分の彼。


俺はもう恥ずかしくて恥ずかしくて顔だけなんか熱い。


「ちょっ…おいサスケ!!
手つなぐのはまじで勘弁!!
周りに変な風に思われたら嫌だろ!?」


必死に振り解こうと暴れるが
全然効いていない。


逆に向こうも逃がすまいともっと強く握ってくる。


「なぁマジで!!」

「なんでだよ。」


俺の強め口調の説得にサスケはとぼけた反応をする。


「俺たちはラブラブバカップルなんだから、こんなこと、恥ずかしくもなんともないだろうが。」

「なっ…
ラブラブはついてねーぞ!?」


すかさず反論する。


「ついてる。
ちょっとは素直になれバカ。」

「バカは余計だバカは!!」




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